暮らしのなかのお菓子

人の一生と和菓子

人生には、誕生してから成長するにしたがい、数々の節目があります。
その時々の喜び、お祝い、感謝の気持ちを伝えるために、昔からお菓子が使用されてきました。
嬉しいにつけ、悲しいにつけ、お菓子を贈り、贈られて人と人とのお付き合いの仲立ちをつとめてきたのがお菓子です。

着帯の祝い

妊娠して5ヶ月目のいぬの日に、腹帯をしめて、お産が軽くすむようにと願う「帯の祝い」をします。
【紅白上用饅頭/赤飯/帯しめだんご】

出産祝・結婚祝

①三つ目祝

婚礼、又は誕生から三日目に当る祝いの事。
【三目のおはぎ/赤飯/上用饅頭】

②お七夜

無事出産して7日目を迎えると、“お七夜”といって命名披露を行い祝います。
【紅白上用饅頭/赤飯/鶴の子餅 等】

③お宮参り

男児31日目、女児33日目に、母が子供を前抱きにして氏神様に参拝し、無病息災を祈願します。
【紅白上用饅頭/赤飯/鶴の子餅/おめで糖】

初節句(主に端午の節句に用いられる)

誕生して最初に迎える節句で、女児は3月3日(ひなの節句)、男児は5月5日(端午の節句)に、子供の無事成長を祈ります。

①桃の節句

【ひな菓子/引千切(ひっちぎり)/ひなあられ/菱餅/桜餅/うぐいす餅 等】

②端午の節句

【柏餅/粽(ちまき)/鯉形の菓子 等】

満1才の誕生祝

生後満一年目には、一升の丸餅に寿の文字を書き、風呂敷に包んで幼児に背負わせます。紅白の重ね餅も用います。
【祝餅(力餅)/赤飯/紅白上用饅頭/バースデーケーキ/鳥の子餅/高砂饅頭 等】

七五三の祝

男の子は3才と5才、女の子は3才と7才の年の、11月15日に成長を祝って、お宮参りをします。
昔は、男女とも3才になると初めて髪をのばすので“髪置きの祝い”といい、男の子が5才になると初めて袴をつけるので“袴着の祝”といい、又、女の子は7才になると、着物の結び紐から、帯を結ぶようになるので、“帯ときの祝い”といいます。
【千歳飴/翁飴/赤飯/紅白上用饅頭/鳥の子餅/こがね餅/桜湯 等】

入学祝

4月初旬になると、幼稚園から大学までの入学が始まる。入学した喜びをお祝いします。
【赤飯/紅白上用饅頭/引菓子 等】

卒業祝い

一区切りのけじめと、勉学での成果をお祝いします。
【赤飯/紅白上用饅頭/おめで糖/打菓子 等】

就職祝い

高校、大学などを卒業するとそれぞれ就職し、家庭、就職先共にお祝いをします。
【赤飯/紅白上用饅頭/上生菓子/鳥の子餅 等】

成人祝い

昔は15才で前髪をそり落して、元服といいましたが、現在は1月第2週の月曜日が成人の日として定められ、20才の門出を祝います。
【赤飯/紅白上用饅頭/引菓子 等】

結婚祝い

結婚式は人生最大の慶事であり、第2の人生へ出発する大切な儀式です。
【式菓子/赤飯/紅白上用饅頭/引菓子/高砂饅頭/子持饅頭/蓬莱山 等】

結婚記念日

結婚した日を記念してお祝いをします。
25周年を祝う“銀婚式”や、50周年を祝う“金婚式”など、経過年数によって名称があり、節目の年に盛大に祝います。
【紅白上用饅頭/赤飯/羊羹 等】

寿賀の祝い

  • 六十の干支が一廻りして元に返る“還暦祝い”(61才)
  • 「人生七十古来稀也」(杜甫の曲江詩)の言葉を引用して、“古希祝い”(70才)
  • 喜を草書体で㐂と書くように、七十七の組み合わせで、“喜寿祝い”(77才)
  • 傘を草書体で仐と書くように、八十を意味する“傘寿祝い”(80才)
  • 米の時が八十八の組み合わせから“米寿祝い”(88才)
  • 百の文字から一を取り除くという意味で“白寿祝い”(99才)
  • “紀寿祝い”(100才)

【引菓子/赤飯/紅白上用饅頭 等】

上棟・新築祝い

家屋の骨組みが出来ると、建前といって上棟式を行います。会社等では、完成すると、落成式をし会社名やマークの入った菓子等を配ります。
【赤飯/紅白上用饅頭/引菓子/鳥の子餅/スミ切り菓子 等】

開店・創業祝い

商売のスタートを祝います。
【赤飯/紅白上用饅頭/引菓子/鳥の子餅/スミ切り菓子 等】

引越し祝い

それまでのお付き合いやお世話になったことに感謝の気持ちを込めてお祝いを贈ります。
【赤飯/そば上用饅頭/せんべい/最中 等】

お見舞い

病気や怪我の快方を願い、また少しでも幸せな気持ちになっていただくために贈ります。
【カステラ/くず湯/どら焼き/懐中しるこ 等】

快気祝い

床上げ祝いは、見舞いに来られた人などへ、病気全快を報告し返礼をします。
【赤飯/紅白上用饅頭/鳥の子餅/おめで糖/本復饅頭/こし高饅頭 等】

仏事・法要

子孫は、一生をとじた者を丁重にとむらい、年忌日には、法要を営んで、冥福を祈るのが務めです。

①通夜見舞い

死去したとき、親類、友人、知己の見舞をうけて通夜が営まれます。
【茶白上用饅頭/通夜饅頭/茶菓子/盛菓子 等】

②葬式

当日は、遺族に見守られ、親族、友人、知己の方々から、宗派の儀式にしたがって手厚く葬られます。
【茶白上用饅頭/春日饅頭/焼饅頭/落雁/そばぼうろ/せんべい 等】

③香典返礼

七、七日忌(四十九日)、又は、五、七日忌(三十五日)の供養をすませると、御礼の書状を添えて香典返しをします。
【茶白上用饅頭/春日饅頭/そば饅頭 等】

④法要

年忌日には必ず法要を営んで、死者の冥福を祈ります。

  • 法事 … 初七日・21日・35日・49日・百ヶ日
  • 法要 … 一周忌(満一年目の忌日)・三回忌(満二年目の忌日)・七回忌・十三回忌・十七回忌・二十三回忌・二十七回忌・三十三回忌・三十七回忌・五十回忌・百回忌

【茶白上用饅頭/春日饅頭/落雁/引菓子/最中/焼物/しのぶ饅頭 等】

⑤彼岸

春分と秋分の日を中日として、その前後三日ずつ七日間を言い、煩悩の流れを越えた境地を彼岸といい、彼岸参りと言って寺や墓に参り、仏事を行います。
【おはぎ/彼岸だんご 等】

⑥盂蘭盆(うらぼん)

祖霊を死後の苦しみの世界から救済するため陰暦7月13日~15日を中心に行われる仏事。地方によっては新暦7月・8月など日が異なります。
【菊・ハス花落雁 等】

家庭の憩いに

【わらび餅/三つ豆/花見団子/草餅】